2018/05/03

5月FOMC声明(2018年)インフレ目標達成に自信

5月1日~2日に開催されたFOMCの声明が発表されました。
政策金利は、市場予想通り1.50%~1.75%に据え置きでした。

  • 労働市場が引き続き強化され、経済活動が穏やかに上昇を続けていることを示している。
  • 経済見通しへのリスクはおおむね均衡。
  • 長期的なインフレはならしてみるとほぼ変わらず。
  • 前年比ベースのインフレは中期的に対称的な2%の物価目標付近で推移すると予想。
  • 経済状況はFF金利のさらなる緩やかな引き上げを正当化すると予想。
  • 最近のデータによると、四半期ペースで家計支出の伸びが緩やかに推移した一方、設備投資は引き続き堅調に推移した。
  • 前年比ベースのインフレと食料・エネルギーを除くインフレは2%に近づいた。
  • 過去数カ月の雇用の伸びは力強く、失業率は低水準にとどまっている。

5月FOMCは、年4回の利上げが示唆されるかどうかが注目点でした。

「前年比ベースのインフレは中期的に対称的な2%の物価目標付近で推移すると予想」「前年比ベースのインフレと食料・エネルギーを除くインフレは2%に近づいた」とあり、これは3月のPCEコアデフレーターが前年比+1.9%に上昇したことを示していると思われますが、インフレについての強気な見方が現れており、インフレ目標である+2%達成に自信がうかがえるものと思われます。

また、「対称的な」という文言が入れられたのは、インフレ目標である+2%を上回ることを容認することを示唆しているという見方があるようです。FOMC議決権持ちで中道派のボスティック・アトランタ連銀総裁は4月5日に「インフレが2%を多少超えても問題ない」と述べています。

雇用や経済活動についての強気な見方も変わらず、堅調な米経済を評価している模様です。

しかし、マーケットは年4回の利上げをすでに織り込みにかかっており、その点では5月FOMC声明の内容はタカ派度が足りなかったという見方が多いようです。ただ、6月に行われるFOMCでは利上げされるだろうというのが大方の予想のようです。

2018/04/12

3月FOMC議事録(2018年)

3月20日~21日開催分のFOMC議事録が発表されました。

  • 大規模な財政政策が成長を今後数年促進。
  • 参加者全員がインフレはここ数カ月で上向いていると指摘。
  • 多くの参加者がインフレ見通しにより大きく確信。
  • ほとんど全ての参加者が緩やかな利上げが適切と判断。
  • 見通しは利上げ加速を正当化と多くの参加者が判断。
  • 貿易戦争は下振れリスクと参加者の大多数が判断。

3月のFOMCは、パウエル新FRB議長の初のFOMCで、0.25ポイントの利上げが行われました。

年3回利上げ予想は維持され、そのため若干タカ派傾向は弱めかという声も一部にありましたが、3月FOMC議事録では、「見通しは利上げ加速を正当化と多くの参加者が判断」とあり、年4回利上げも視野に入るという見方が多いようです。

「大規模な財政政策が成長を今後数年促進」「参加者全員がインフレはここ数カ月で上向いていると指摘」「多くの参加者がインフレ見通しにより大きく確信」などと、経済、インフレ見通しに対する自信がうかがえるものだという指摘がマーケットにはあるようです。

一方、「貿易戦争は下振れリスクと参加者の大多数が判断」と、貿易戦争に対する懸念も示され、トランプ大統領の政策による先行きの不透明さを表してもいるようです。

全体的には、前述のとおり、経済・インフレへの自信や利上げ加速への言及などタカ派的と言えるかもしれません。

また、ハト派のダドリー・ニューヨーク連銀総裁は6月で退任し、後任に中道タカ派よりのウィリアムズ・現サンフランシスコ連銀総裁が6月18日に就任するので、今年中盤以降はますますタカ派色が強くなるかもしれません。

トランプ大統領は、最初に吹っ掛けておいて妥協点を探すという作戦を多用するようなので、貿易戦争が回避されて懸念が払拭されれば、年4回利上げの可能性もあるといえるかもしれません。

2018/03/22

3月FOMC声明(2018年)0.25ポイント利上げも年3回利上げ予想は維持でタカ派傾向は弱め

3月20日~21日に開催されたFOMCの声明が発表されました。
パウエル新FRB議長の初のFOMCとなりました。
政策金利は、市場予想通り1.25%~1.50%から、1.50%~1.75%に引き上げられました。

  • 労働市場が引き続き強化され、経済活動が穏やかに上昇を続けていることを示している。
  • 短期的な経済見通しへのリスクはおおむね均衡。
  • 物価の動向を注意深く監視する。
  • 市場に基づくインフレ調整指標はここ数カ月で上昇したものの、依然として低いままである。調査に基づく長期的なインフレ期待はならしてみるとほぼ横ばいとなっている。
  • 前年比ベースのインフレは今後数カ月上昇し、中期的に2%付近で安定すると予想。
  • 経済状況はFF金利のさらなる緩やかな引き上げを正当化すると予想。
  • 決定は全会一致。
  • 過去数カ月の雇用の伸びは力強く、失業率は低水準にとどまっている。

声明自体はほぼ市場予想通りでサプライズはなく、経済活動や雇用に関しての強気な見方を維持し、低インフレに言及しながらも中期的にはインフレ目標の2%付近で安定する予想というイエレン路線を踏襲するものでした。

マーケットの注目はむしろFF金利見通しや、パウエル新FRB議長の会見の方に集まっていました。

  • 2018年末までのFF金利見通し(中央値): 2.1%(前回2.1%)
  • 2019年末までのFF金利見通し(中央値): 2.9%(前回2.7%)
  • 2020年末までのFF金利見通し(中央値): 3.4%(前回3.1%)

  • 2018年GDP見通し: 2.7%(前回2.5%)
  • 2019年GDP見通し: 2.4%(前回2.1%)
  • 2020年GDP見通し: 2.0%(前回2.0%)

2018年末までのFF金利見通しは、年3回利上げ予想維持でした。
マーケットでは、年4回を予想する向きもあったので、若干タカ派傾向は弱めととらえられたようです。
2019年末・2020年末までのFF金利見通しは、前回より上方修正されました。

また、GDP見通しは、2018年・2019年の見通しが上方修正され、景気に強気の見方を持っていることが示されました。


FOMC声明後に行われたパウエル新FRB議長の記者会見の内容は次の通りです。

  • 労働市場は引き続き堅調に推移すると予想。
  • 経済見通しはここ数カ月で強まった。
  • 遅すぎる利上げペースは経済にリスクをもたらす。
  • 失業率低下にもかかわらずインフレの上向き圧力は緩やかにとどまる。
  • 利上げに関して中立的な立場の方針。
  • 関税についても協議。通商政策を企業は懸念し始めた。
  • 賃金の伸びが見られないことに驚き。
  • 一部資産価格は歴史的水準と比較して高い。
  • 貿易は顕著な見通しリスクになった。

一部で年4回利上げの可能性は残ったとのアナリストの見方もあるようですが、大半は予想よりタカ派的ではなかったとの見方が多いようで、ドルは下落したようです。


3月FOMCはパウエル新FRB議長初のFOMCとのことで注目されましたが、声明は概ね市場予想通りでイエレン路線を踏襲し、2018年末までのFF金利見通しも年3回を維持というものでした。

一方、パウエル新FRB議長の記者会見は、事前のマーケットの予想よりもタカ派的ではなかったという見方が多く、ドル下落の要因になった模様でした。

2018/02/22

1月FOMC議事録(2018年)

1月30~31日開催分のFOMCの議事録が発表されました。

  • 最近の米経済の景気拡大は、さらなる緩やかな利上げを正当化。
  • 多くの参加者は12月時点から成長率見通しを上方修正。
  • 多数の参加者は、リスクはバランスしていると判断。
  • 数人の参加者が景気見通しに上方リスクを警戒。
  • 数人の参加者がイールドカーブを注視することが重要と指摘。
  • 最近の物価指標は2018年のインフレ率の上昇を示唆、中期的には2%前後で推移する可能性。
  • インフレが目標に達しないリスクがかなり高いと一部参加者が指摘。
  • 金融市場の不均衡が実体経済に及ぼす影響を注視すべきとの見解。

1月FOMC議事録発表時の地合いは、1月FOMC声明発表時の地合いとすっかり変わってしまって円高傾向ですが、1月FOMCは、円高のきっかけとなった1月雇用統計前のものになります。

「最近の米経済の景気拡大は、さらなる緩やかな利上げを正当化」と、1月FOMC声明で入れられた「さらなる」という文言が議事録でも入っており、一段の利上げが実行されるともとれる内容と思われます。

また、「多くの参加者は12月時点から成長率見通しを上方修正」とあり、トランプ大統領が打ち出した税制改革によって成長率が上振れする可能性によって、多くの参加者は景気に対し強気の見通しを持っているようです。

インフレに対しては、「最近の物価指標は2018年のインフレ率の上昇を示唆、中期的には2%前後で推移する可能性」と楽観的な見通しを示しており、「インフレが目標に達しないリスクがかなり高い」と見ているのは一部の参加者にとどまるとのことで、インフレについても強気の見通しの参加者が多いということと思われます。

1月FOMC議事録発表後は、さらなる緩やかな利上げが行われる姿勢が確認されたとして、国債利回りが上昇したようです。

ただ、1月FOMCはイエレン氏最後のFOMCであり、3月FOMCからはパウエル新FRB議長による新体制でのFOMCが始まるので、次回の3月FOMCにさらに注目が集まるものと思われます。

2018/02/01

1月FOMC声明(2018年)物価判断を上方修正でややタカ派的内容

1月30日~31日に開催されたFOMCの声明が発表されました。
政策金利は、市場予想通り1.25%~1.50%に据え置きでした。

  • 労働市場が引き続き強化され、経済活動が堅実な上昇を続けていることを示している。
  • 短期的な経済見通しへのリスクはおおむね均衡。
  • 物価の動向を注意深く監視する。
  • 市場に基づくインフレ調整指標はここ数カ月で上昇したものの、依然として低いままである。調査に基づく長期的なインフレ期待はならしてみるとほぼ横ばいとなっている。
  • 前年比ベースのインフレは今年上昇し、中期的に2%付近で安定すると予想。
  • 経済状況はFF金利のさらなる緩やかな引き上げを正当化すると予想。
  • 政策を全会一致で決定。
  • 金融政策のスタンスは引き続き緩和的で、それによって強い労働市場環境と2%のインフレへの持続的な回帰を支える。
  • FF金利の実際の道筋は入手するデータに基づく経済の見通し次第。

「前年比ベースのインフレは今年上昇し、」とこれまでよりも強い文言でインフレ見通しを判断しており、やや強気の見通しとマーケットにはとらえられたようです。

また、「経済状況はFF金利のさらなる緩やかな引き上げを正当化すると予想」と「さらなる」という文言が入れられたことで、年4回の利上げも場合によってはありうるとの見方も出てきたようです。

これらから、1月FOMC声明の内容はややタカ派的だったとの見方がマーケットでは多いようです。

さて、今回のFOMCがイエレン氏最後のFOMCとなり、2月3日にパウエル新FRB議長が誕生して新体制となります。イエレン氏と同じくハト派でイエレン氏を支えてきたFOMC副委員長のダドリー・ニューヨーク連銀総裁も2018年半ばで退任予定となっており、12月FOMC議事録でも述べたように、トランプ政権下のFOMC新体制はタカ派優勢となっています。

パウエル氏は、イエレン氏の路線から大きく変わることはないとマーケットではみなされていますが、タカ派優勢の中、12月FOMC声明時の2018年度の利上げ見通し3回を上回る利上げをすることになるのかどうか、物価動向を注視していく必要がありそうです。

2018/01/04

12月FOMC議事録(2017年)

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、新年早々ですが、
昨年の12月12日~13日開催分のFOMC議事録が発表されました。

  • 多くの投票権のある参加者とない参加者は12月の利上げを支持。
  • 数人は利上げに反対。
  • ほとんどの参加者は緩やかなペースでの利上げ継続を支持。
  • 複数の参加者は中期的なインフレ見通しは変わっていないと指摘。
  • 数人の参加者は継続的な低インフレがインフレ期待を低下させる可能性を懸念。
  • 多くの参加者は労働市場が引き締まっておりインフレを押し上げる見通しとの見解を示した。
  • 利回り曲線のフラット化は異例ではないとの意見が全般で一致。
  • 多くの参加者は所得税の減税は消費支出を押し上げると予測。
  • 何人かは所得減税は雇用も増大すると予測。
  • 多くの参加者は法人税の減税は設備投資を押し上げると予測。
  • 法人税減税は経済の潜在成長力も数年押し上げると予測。
  • 何人かの参加者は物価レベルとGDPを目標にするように提案。

「ほとんどの参加者は緩やかなペースでの利上げ継続を支持」「複数の参加者は中期的なインフレ見通しは変わっていないと指摘」などとこれまでの見方を変えておらず、今後も緩やかなペースでの利上げが継続されることが示され、マーケットはこれを好感して株価が上昇したようです。

また、減税による消費や雇用、経済への好影響にも言及され、総じてタカ派の内容だったとの評価がマーケットでは多いようです。

12月FOMCでは0.25ポイントの利上げが行われましたが、エバンス・カシュカリ両氏が据え置きを主張して反対しました。しかし、2018年はFOMC投票権持ちの連銀総裁のメンバーも変わり、超タカ派のメスター・クリーブランド連銀総裁や、タカ派と目されるバーキン・リッチモンド連銀総裁、中道派ですがタカ派よりのウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁などタカ派が多く、FRB理事を含めてもタカ派・中道派優勢といえそうで、目立ったハト派は超ハト派のブレイナード理事ぐらいなので、利上げのペースに影響を与えることもありそうです。

イエレンFRB議長は2月に退任し、パウエル理事がFRB議長に就任するので、今年はパウエル次期FRB議長の手腕に注目が集まりそうです。

2017/12/14

12月FOMC声明(2017年)0.25%利上げ、2018年度の利上げ見通しは3回に維持

12月12日~13日に開催されたFOMCの声明が発表されました。
政策金利は、市場予想通り1.25%~1.50%へ引き上げられました。

  • インフレは短期的には引き続き2%をやや下回るが、中期的には目標の2%付近で安定すると予測。
  • 物価の動向を注意深く監視する。
  • 労働市場が引き続き強化され、経済活動が堅実な上昇を続けていることを示している。
  • エバンズ、カシュカリ両氏が据え置きを主張し利上げに反対。
  • 金融政策のスタンスは引き続き緩和的で、それによって強い労働市場環境と2%のインフレへの持続的な回帰を支える。
  • 経済状況はFF金利が緩やかな引き上げを正当化すると予想。

  • 2018年末までのFF金利見通し(中央値): 2.125%(前回2.125%)
  • 2019年末までのFF金利見通し(中央値): 2.688%(前回2.688%)
  • 2020年末までのFF金利見通し(中央値): 3.063%(前回2.875%)

  • 2018年GDP見通し: 2.5%(前回2.1%)
  • 2019年GDP見通し: 2.1%(前回2.0%)
  • 2020年GDP見通し: 2.0%(前回1.8%)

すでにマーケットでは織り込まれていましたが、事前予想通りに1.25%~1.50%へ利上げされました。

ハリケーンの影響を除くと、11月FOMC声明とほぼ同じ内容で、労働市場の強化と経済活動の堅調さが指摘され、おおよそ想定内の内容とマーケットではとらえられているようです。

エバンス・カシュカリ両氏は超ハト派で、エバンス・シカゴ連銀総裁は低インフレの懸念を、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は賃金上昇の鈍さと労働市場にたるみがある可能性をすでに指摘していたので、あまりサプライズとはとらえられてはいないようです。

FF金利見通し(中央値)については、2018年度は2.125%と前回と同じで、年3回の利上げ見通しを維持しました。
2019年度も2.688%と前回と同じで、年2回の利上げ見通しを維持しました。
2020年度は前回より引き上げて3.063%となりました。

GDP見通しは、トランプ大統領の政策の影響も考慮された模様で2018年度・2019年度・2020年度いずれも前回から引き上げられました。


FOMC声明後に行われたイエレンFRB議長の記者会見の内容は次の通りです。

  • 利上げは緩やかな引き締めが正当化されるとの見方を反映している。
  • 税制改革は今後数年、経済を押し上げる公算が大きい。
  • 経済見通しが正当化すれば保有債の償還資金再投資を再開する用意がある。
  • 労働市場の過熱を容認すれば急激な引き締めが必要となるリスクが高まる。
  • 今年確認された予想外の軟調なインフレは概ね一時的とみられる。
  • ビットコインは極めて投機的な資産。
  • 株式市場は今年上昇してきた。
  • 高いバリュエーションは必ずしも過大評価を意味しない。
  • デジタル通貨の採用を真剣に考えていない。
  • パウエル次期FRB議長はFRBを非常によく理解している。

9月FOMC声明後の記者会見では、低インフレへの懸念が語られていましたが、「今年確認された予想外の軟調なインフレは概ね一時的とみられる」と楽観的な意見を述べていました。

すでに次期FRB議長がパウエル氏に決まっているためか、それほど注目度は高くなかったようです。
イエレン氏は来年2月に退任し、パウエル理事が次期FRB議長になります。次回のFOMC後のFRB議長の記者会見は来年の3月なので、今回がイエレン氏最後の記者会見となりました。